世界中で八重山諸島の西表島だけに分布するヤマネコは、体重4 kg前後で、暗褐色の体毛が特徴。
おもに夜間に活動するが、巧みな木登りや泳ぎが観察されている。クマネズミなどの小型哺乳類の他、キノボリトカゲ、シロハラクイナなどを餌とし、河川では魚類や甲殻類を捕食していることが明らかになっている。
特別天然記念物として保護されているが、生息数は100頭以下と推測され、絶滅の危機が高まっている。
イリオモテヤマネコは、1967年に当館の今泉吉典博士によって新種として報告された。ネコ科の新種発見のニュースは、学界だけでなく社会的にも大きな反響を呼び、琉球列島の自然環境保全という課題を世界的に投げかける契機となった。
近年、同種のミトコンドリアDNAの分析が進み、アジア大陸のベンガルヤマネコと比較的近縁であることが報告された。
また、集団内の遺伝学的多様性が乏しいことが明らかになり、島しょ環境に適応した遺伝学的に均一な集団が種を維持していると推察されています。